ボラカイ島は、フィリピンのビサヤ諸島に位置する小さな島で、その美しいビーチとクリアな海で世界的に有名です。約7キロメートルの長さと1キロメートルの幅を持つこの島は、観光地として非常に人気があります。
歴史的背景
ボラカイ島は、もともと地元の漁村が点在する静かな小島でした。
しかし、1990年代に入り、観光地としての開発が進み、特に2000年代からは中国人・韓国人を中心に国際的な観光客が急増しました。これに伴い、インフラの整備が進み、リゾートホテルやレストランなどが次々に建設されました。
2000年代に入り、環境破壊とカジノ建設を始めとする過剰な観光開発が問題視され、この小さな島は大きな転換期を迎えます。
ドゥテルテ前大統領の怒り
2018年4月、フィリピンのドゥテルテ前大統領はこの島を半年間閉鎖することを命じました。観光客は一切この島に立ち入ることができなくなりました。
島内ではホテルなどの施設が下水を浄化せずに直接海に垂れ流す違法行為を繰り返し、急速に環境が破壊されました。
ドゥテルテ前大統領は、ボラカイの海は「汚水溜め(Cesspool)」だと極めて厳しい表現で島の環境悪化と乱開発を攻撃しました。
大統領の直接命令による半年間の閉鎖と浄化設備の再整備のおかげで、島の環境は飛躍的に改善し元の美しい自然が回復しました。
満を持しての再オープンでしたが、その後すぐに新型コロナウィルスの影響で今度は3年間ほど観光客の足が途絶えました。幸か不幸かその影響もあり、島の自然環境はますます回復しました。
ただし、観光で成り立つ島だけに、雇用を失った島民の困苦は大変なものがありました。
ボラカイ島へのアクセス カリボ空港とカティクラン空港
ボラカイ島への玄関口として、カリボ空港とカティクラン空港いずれかの空港を利用します。この2つの空港は、ボラカイ島の隣パナイ島に位置します。ボラカイ島にはジェット旅客機が離発着できる空港はありません。
カリボ空港
主に国際線を就航する航空会社が離発着する空港になります。韓国系LCC航空会社やフィリピン航空が、ソウル仁川空港からカリボ空港まで直行便を運航しています。この空港はカティクラン桟橋港までの距離が70キロほど離れた場所にあり、空港から桟橋まで陸路で約2時間移動にかかるため、アクセスの不便さは否めません。
カティクラン空港 (ゴドフレド・P・ラモス空港)
通称カティクラン空港は、ボラカイ島へのアクセスが非常に便利な空港です。首都マニラからは飛行機で1時間10分、セブからは1時間5分の距離に位置します。フィリピン航空やセブパシフィック航空など、フィリピン国内線利用の場合はこの空港を利用します。
以前は「有視界飛行」のみの小さな空港でした。
観光客の増加に伴い、現在では滑走路が延伸され、ターミナルビルも新設されて、夜間でもジェット旅客機の離発着が可能な立派な空港になっています。
カティクラン桟橋港までは約2キロとアクセスは抜群です。
カティクラン空港の正式名称はゴドフレド・P・ラモス空港(Godofredo P. Ramos Airport)と言います。ターミナルビルには「ボラカイエアポート」と大きな表示がされています。これは、ボラカイ島への玄関口はカリボ空港ではなく、この空港だという強烈な意思表示になっています。
カティクランからボラカイ島へ
2つの空港があるパナイ島からボラカイ島へは船で移動します。島と島の間に橋などはかかっていません。この不便さがボラカイ島の環境維持に役立っています。カティクラン桟橋港からボラカイ島の港までは約15分の船旅になります。島間を航行する船は小さな船です。風向きや波の高さによって停泊する桟橋は変わる可能性があります。スーツケースなどの荷物は人力で船上へ運び上げます。
ボラカイのベストシーズンは?
一般的にボラカイのベストシーズンは、乾季にあたる12月から5月と言われています。この時期は台風の心配もなく、風が穏やかで波も静かになり、最高のリゾート気分を満喫できます。
ただし、欠点はオフシーズンに比べホテルの宿泊費用が格段に上がることです。そのため最近では敢えてオフシーズンを狙う観光客も多く見受けられます。
雨季にあたる6月から9月は、西南方向から強い季節風がホワイトビーチ方向に吹き付けます。強い風の影響で目の細かいビーチの白砂が建物の中に舞い込むため、ビーチ沿いの施設はみな風除け(砂除け)のネットやパティションを張り巡らせます。
しかし、みな工夫して砂除けネットを設置するのでそれほど景観が損なわれることはありません。
季節風がだんだん穏やかになり、ビーチ沿いの施設がそろそろ砂除けネットを撤去しだす9月~10月頃がボラカイ訪問の一つの狙い目かもしれません。昨今は気候変動の影響で、以前ほどオン・オフの境目が無くなってきているのも事実です。
主要な見どころ
ホワイトビーチ
ボラカイ島の代表的なビーチで、約4キロメートルにわたる白砂のビーチです。透明度の高い青い海と柔らかい白砂は、リラックスするのに最適で、多くの観光客が訪れます。ビーチ沿いには、多くのリゾートホテルやレストラン、ショップが並んでいます。
Dモール
スーパーマーケットや多くのショップ、レストランが集まるショッピング&グルメエリアで、観光客や地元の人々にとって便利なスポットです。ここでは、フィリピン料理や国際的な料理を楽しめるレストランが揃っています。滞在中は毎日通うことになるボラカイ唯一のオープン型ショッピングモールです。
サンセット
ボラカイ島は、美しいサンセットで有名です。夕方になると、ホワイトビーチ沿いのビーチバーやレストランで、壮大な夕焼けを眺めながら食事を楽しむことができます。
アクティビティ
ウォータースポーツ
ボラカイ島は、ウィンドサーフィン、カイトサーフィン、シュノーケリング、ダイビングなど、多様なウォータースポーツが楽しめるスポットです。特にイカカックビーチやプカシェルビーチが人気です。
アイランドホッピング
ボラカイ周辺の小さな島々を巡るアイランドホッピングツアーがあり、美しい景色と豊かな海洋生物を楽しむことができます。
自然保護と環境意識
最近では、ボラカイ島の自然環境保護が強調されており、観光客や地元住民に対する環境保護活動が推進されています。持続可能な観光地としての再生と発展が進められています。
ボラカイ島は、その美しい自然環境と豊富なアクティビティで、観光客にとって非常に魅力的なアイランドリゾートであり続けています。観光で成り立つ島ゆえ、セブなどと比べても治安は格段に良いことも利点として上げられます。