マニラ首都圏から北北西へ約100キロに位置するパンパンガ州クラーク、アンヘレス、マバラカットは、それぞれが独自の歴史、文化、経済の特色を持ちながら、地域全体としても重要な役割を果たしています。この地域は特に、クラーク経済特区の存在によって発展を続けており、観光地としても、経済の中心地としてもフィリピン国内外から注目されています。
パンパンガへのアプローチ
この地域へのアプローチは、スカイウエイ(首都圏有料道路)の開通により飛躍的に楽になりました。以前はマニラ首都圏からの車の移動には、早くても2時間半、渋滞に巻き込まれれば3時間~4時間かかっていました。全てはケソンエリアの大渋滞が原因でした。
コロナ過以前から進められていたスカイウエイの正式開通により、この大渋滞を回避することが出来るようになり、今ではニノイ・アキノマニラ国際空港からクラーク・アンヘレスまで90分での移動が可能になりました。
また、このエリアにはクラーク国際空港(CRK)があり、フィリピン国内外の多くの便が運航されています。国際的なビジネスと観光のハブ空港としても機能しており、日本のヨコハマタイヤ・フィリピンを始め多くの外資系企業がここに進出しています。
日本からは、セブパシフィック航空が成田⇔クラークの直行便を毎日運航しています。
クラーク
クラークはもともとアメリカ空軍の基地として知られていました。1991年にピナトゥボ山の噴火により米軍が撤退した後、クラーク経済特区(Clark Freeport Zone)として再開発され、現在では経済活動の一大拠点となっています。
また、リゾートやゴルフ場、カジノなども多く、観光業も非常に発展しています。
大型ショッピングモール SMシティ・クラーク
SMシティクラークは、フィリピンのパンパンガ州アンヘレスにある大型ショッピングモールで、クラーク経済特区に近接しています。
多様な店舗、レストラン、エンターテイメント施設が揃い、地元住民や観光客に人気のスポットです。特にIMAXシアターや広大なフードコートが特徴的で、ショッピングだけでなく映画や食事も楽しめます。
また、近年は観光客向けの施設やイベントも充実し、クラーク地域の発展に貢献しています。
ゴルフ天国 クラーク
クラークのゴルフ場は、美しい自然景観と高品質なコース設計が特徴です。特にクラークサンバレス山脈を背景にした広々としたフェアウェイや、戦略的に配置されたバンカー、池などがプレイヤーの挑戦心を刺激します。
クラークのゴルフリゾートは、クラーク経済特区内に位置しており、リゾートホテルやレストランと併設されているため、リラックスした環境でゴルフを楽しむことができます。
アクセスの良さも、国際的なゴルファーに人気です。特に冬季(12月~3月)は、仁川空港からクラーク国際空港まで数多く就航する直行便のおかげで韓国からのゴルファーが大挙して押し寄せます。
ミモザプラスゴルフクラブ(Mimosa Plus Golf Course)
クラークの美しい自然を活かした人気のゴルフ場。広大なフェアウェイと戦略的なホールが魅力です。
F.A.コリアカントリークラブ (Fontana Apollo Korea Country Club)
36ホールの韓国系ゴルフリゾート。距離が長く、真っすぐなコースが特徴。韓国風サウナ施設を備えたクラブハウスなど、韓国人ゴルファーがメインとなるゴルフリゾートです。
アンヘレス
アンヘレス市は、クラークの南に位置し、クラーク基地の設立以来、この地域と深い関係を持っています。
もともと農業中心の地域でしたが、クラーク基地の存在により急速に都市化が進みました。現在のアンヘレスは、多文化的な都市で、特にナイトライフやエンターテイメントが発展している場所として知られています。
フィールズアベニューなどのエリアは、バーやレストランが多く、外国人観光客にも人気です。しかし、アンヘレスには歴史的な側面もあり、スペイン植民地時代の建物や教会などが残っているため、歴史を感じさせるスポットも点在しています。
アンヘレス=ゴーゴーバーの集合体と言うイメージが非常に強いですが、コロナ過の3年間で客足が途絶え、フィールズのウォーキングストリートもすっかり寂れた感があります。
2024年現在、店の半分はクローズしており人通りも一時期の賑わいはありません。時代は変化しています。
アンヘレスの異様な文化もまさに「オワコン」状態と言っても過言ではありません。
マバラカット
マバラカット市はクラークの北に位置しており、クラーク経済特区の一部を含むため、クラークの発展に直接関与している地域です。
この地域の名前は、地元に多く自生していた「バラカット」という木に由来しています。マバラカットもクラークの影響を受け、急速に発展を遂げていますが、アンヘレスと比べると、より伝統的で落ち着いた雰囲気を持っています。
観光地としては、自然豊かなエリアが多く、地元の文化や伝統を感じることができる場所でもあります。例えば、ピナトゥボ火山トレッキングの拠点として知られており、自然愛好者には絶好のスポットです。
マバラカット西飛行場跡と神風特別攻撃隊
マバラカット西飛行場は、マバラカット市にあった日本軍の軍用飛行場です。
ここは1944年10月25日、太平洋戦争中に初めて神風特別攻撃隊が出撃した場所として知られています。神風特別攻撃隊は、航空機ごと敵艦に体当たり攻撃を行う日本軍の自爆攻撃部隊で、戦局が悪化する中で採用されました。
マバラカット西飛行場は、その歴史的背景から現在も神風隊の記憶を伝える場所として訪れる人を静謐な気持ちにさせます。
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産業と経済
クラーク経済特区がこの地域全体の経済成長を牽引しており、特に輸出産業、IT、観光業が大きな役割を果たしています。
多くのフィリピン人だけでなく、外国人労働者もこの地域で仕事を見つけており、経済的に多様化した地域です。
また、クラーク国際空港を通じた国際的な輸送や物流も発展しており、この地域はフィリピンの経済的中心地の一つと見なされています。
観光と文化
観光においては、クラークとアンヘレスが特に人気で、歴史的建造物、エンターテイメント施設、自然観光など、さまざまな体験が可能です。
また、クラークは毎年開催される「クラーク熱気球フェスティバル」で有名で、このイベントは国内外から多くの観光客を惹きつけています。さらに、パンパンガ州全体は「フィリピンの料理の首都」としても知られており、地域の豊かな料理文化を楽しむことができます。
総じて、クラーク、アンヘレス、マバラカットの地域は、歴史と現代的な発展が融合した地域であり、経済と観光の両面で重要な役割を果たしています。今後もフィリピンにおける重要な地域として成長を続けていくことが期待されています。